日本サイト契約のAlibaba Cloud 提供プロダクト一覧

Alibaba Cloud を利用してみたい、検討してみようか、試験的に導入してみた、そんな声が増えてきているように感じます。  これからAlibaba Cloud を利用する方々がまず知りたいであろう「Alibaba Cloud ではどんなプロダクトが提供されているのか?」という疑問の解決に少しでも役立つよう、現在利用出来る60+α個の提供プロダクトを表にまとめてみました。 

なお、公式ドキュメントでも情報が分散しており多少わかりづらいこと、また、自身のため(※)にもまとめました。

※ 先日、Alibaba Cloud 認定試験の最上位のACEに不合格。 基礎から学ぶ必要があると痛感しすべてのプロダクトを一から勉強することに。

表にまとめるにあたって以下の3点をポイントとしています。 

  • サービス概要を一言でまとめる
  • 東京リージョンで利用可能かどうかわかるようにする
  • 日本サイトで利用できるプロダクトについてまとめる

3つ目のポイントのとおり、Alibaba Cloud は日本サイト契約の前提です。  そもそも”サイト”とはなんだ??という場合は以下の記事を確認してみてください。 Alibaba Cloud を利用するには3つのサイトのどれかと契約する必要があります。 サイトにより利用できるプロダクトや契約先の法人、サポート内容が異なること、日本で利用するなら日本サイト契約がおすすめであることなどをまとめています。

1. コンソールから確認できるプロダクト

Alibaba Cloud コンソールのトップ画面のスクリーンショットです。 利用可能なプロダクトにアクセスできるランチャー的な画面です。 ちょうど50個のプロダクトを確認出来ます。  冒頭記載した60+α個より大分少ないですね。

さらによくよく見ると”Server Load Balancer”や”AnalyticDB for PostgreSQL”が重複しており、50から重複の2つを除いて48じゃないか?という疑問が出るかもしれません。 実際には上記に載っていない”MaxCompute”や”Global Traffic Manager”など上記のプロダクトの配下からアクセスできるプロダクトが多数あります。

結論、このトップ画面だけではAlibaba Cloud で利用可能なプロダクトを確認することは出来ないわけで、そういう意味でも今回表にまとめる意味が出てきます。

2. 公開ドキュメントから確認できるプロダクト

ここでいう公開ドキュメントとは日本サイトの公式ホームページにある情報となります。  ”日本サイト”の情報となることに注意が必要です。 英語表記のホームページは”国際サイト”となり”日本サイト”とは別物で利用できるプロダクトも異なります(国際サイトは日本サイトより多くのプロダクトを利用できる)。

具体的に”日本サイト”は以下になります。

https://jp.alibabacloud.com/

私がいつも最初に確認するのはドキュメントです。 トップページから”ドキュメント”をクリックします。

このドキュメントセンターではAlibaba Cloud の日本サイト契約で利用可能なプロダクトのドキュメントを確認することが出来ます。 すなわち、ここに載っているプロダクトが日本サイトのAlibaba Cloud で利用できるプロダクトといえます。

ただし、以下、注意点・留意事項があります。

  • カテゴリ”管理者用ツール”にあるSDKなど、複数のプロダクトにまたがって利用されるもの、また、プロダクトというよりはツール的なものもある
  • カテゴリ”その他”にある”関連ドキュメント”や”規約”などプロダクトではなくAlibaba Cloud のより上位の概念、利用に関するドキュメントもある(カテゴリ”メンバーシップ規約”なども同様)
  • このドキュメントに記載の無いプロダクトもある

3つ目の”このドキュメントに記載の無いプロダクトもある”ですが、具体的には公式サイトの”プロダクト”に記載があるけれど、上記のドキュメントセンターのトップの見出しに記載のないものとなります。

具体的に例示します。まず、公式サイトの”プロダクト”にアクセスします。

この画面の下にスクロールするとAlibaba Cloud で提供されているプロダクトラインアップが紹介されています。このページでは計60個が紹介されており、これがAlibaba Cloud の公式のプロダクト数なのだと考えます。

ここで紹介されている”Elastic GPU Service”と”Super Computing Cluster”ですが、先ほどのドキュメントセンターのトップには記載がありません。

以下はドキュメントセンターのトップ画面ですが、”Elastic GPU Service”と”Super Computing Cluster” は記載がありません。

結論からいうと、”Elastic Compute Service”のドキュメントの中にそれぞれのプロダクトの記載があります。 

ということで、この次の章でまとめるプロダクトの一覧表ではドキュメントセンターおよびプロダクト紹介の両方に記載のあるプロダクト、すなわちAlibaba Cloud の日本サイトで利用できるすべてのプロダクトをまとめていきます。

なお”国際サイト”は以下になります。 

https://www.alibabacloud.com/

右上の言語が”English”になっている場合は国際サイトとなります。  日本サイトにアクセス後、右上の言語を”English”に変更することでも国際サイトにアクセス可能です。 何も予備知識が無いと表示言語が複数あって便利だなぁと思うところですが、別物であることを認識しておきましょう。

繰り返しになりますが、国際サイトのドキュメントにある100超のプロダクトすべてを日本サイトで利用できるわけではありません。

国際サイトのプロダクトを利用したい場合

すべての方法を把握しているわけではないのですが、1つの方法として国際サイトからオンラインによりAlibaba Cloud の利用を申し込むことで 国際サイトを利用することが可能です。 

私も個人として日本サイトと国際サイトの両方を契約しています。 日本サイトと国際サイトで同じメールアドレス、クレジットカードを利用できない制約はありますが特に不都合無く利用できています。

今現在、国際サイトを利用するシチュエーションとしては以下でしょうか。

  • 日本サイトで未提供のプロダクトを利用したい
  • Alibaba Cloud の認定試験を受験したい(テストは日本国内のPearsonVUE提携のテストセンターでの実施となるのですが、支払いは国際サイト上でコードを購入し、そのコードをPearsonVUEのサイトに登録する必要がある)

また、日本サイトのプロダクトを利用しつつ、国際サイトの一部プロダクトを利用し、システム的に連携(通信)したい場合は、Alibaba Cloud が提供するリージョン間接続のプロダクトとなる”Express Connect”や”Cloud Enterprise Network”を利用可能です。 同一リージョン内の接続であれば無償で利用でき2Gbps超の帯域を利用可能です。(試してはいないので今度テストしてみます)

3. 利用可能なプロダクト一覧

冒頭記載のとおり”プロダクト”、”概要”、”東京リージョンでの提供”の3点でまとめます。 強み・弱みや他メガクラウドとの比較、東京リージョンの中でもマルチゾーンの対応の可否などもっと加えたい情報はありますがBusyな表になるため、まずはシンプルにいきます。

また、”東京リージョンでの利用”が不可のプロダクトについては、東京リージョン以外(例えばシンガポールだったり、上海だったり、米国だったりなど)で利用することが可能です。

3.1. エラスティックコンピューティング

プロダクト概要東京リージョンでの利用
Elastic Compute Service 共有リソース型の仮想マシン
Elastic GPU Service NVIDIA GPU カードを利用できる Elastic Compute Service インスタンス
Auto Scaling Elastic Compute Service のオートスケール
Container Service for Kubernetes Kubernetes
Container Service Dockerは2019年末までに終了予定。Kubernetesへ移行するようにとのこと。
Function Compute イベントドリブン
E-HPC High Performance Computing環境(計算/ログイン/ジョブ管理ノード、共有ファイルなど) のマネージド提供
Dedicated Host 専用ホストを購入しその上にElastic Compute Service インスタンスを起動可 
※要チケット申請
ECS Bare Metal Instance ネスト構成の仮想ホストを実行可能かつハードウェアを占有利用
Super Computing Cluster ECS Bare Metal Instance と同じ技術を利用し、固有の機能としてRDMA通信をサポートするHPC環境N/A
Marketplace Elastic Computer Service インスタンスで利用可能な主にサードパーティーが提供するカスタムイメージ

3.2. ストレージ

プロダクト概要東京リージョンでの利用
Object Storage Service AWS S3と互換性あるオブジェクトストレージ
Network Attached Storage SMB/NFS をサポートするNAS
Table Store NoSQL
Data Transport オフラインデータ移行(物理媒体を安全な方法でAlibaba Cloud に持込みしデータを移行)

3.3. CDN

プロダクト概要東京リージョンでの利用
Alibaba Cloud CDN 静的コンテンツのCDN
※厳密には日本にもキャッシュノードがあるということ
Dynamic Route for CDN 静的コンテンツのCDNおよび動的コンテンツの通信経路の最適化
※厳密には日本にもキャッシュノード、最適化通信経路があるということ

3.4. メディアサービス

プロダクト概要東京リージョンでの利用
ApsaraVideo Live ビデオストリーミング
ApsaraVideo for Media Processing オーディオ/ビデオコンテンツのエンコード

3.5. データベース

プロダクト概要東京リージョンでの利用
ApsaraDB for RDS
MySQL
MySQLのマネージド提供
ApsaraDB for RDS
PostgreSQL
PostgreSQL のマネージド提供
ApsaraDB for RDS
Microsoft SQL Server
Microsoft SQL Serverのマネージド提供
ApsaraDB for RDS
PPAS
PPAS のマネージド提供
(Oracle 互換データベース)
ApsaraDB for Redis インメモリデータベース (Redis) のマネージド提供
ApsaraDB for Memcache インメモリデータベース (Memcache) のマネージド提供
AsparaDB for MongoDB Mongo DBのマネージド提供
AnalyticDB for PostgreSQL MPPデータウェアハウス(Greenplum) のマネージド提供
Database Backup Alibaba Cloudまたはオンプレミス/他クラウドのデータベース(MySQL/PostgreSQL/Oracle/Microsoft SQL/Mongo/Redis)のバックアップサービスをマネージド提供
Data Transmission Service Alibaba Cloudまたはオンプレミス/他クラウドのデータベース(MySQL/PostgreSQL/Oracle/Microsoft SQL/Redis) の移行、同期、データサブスクリプション機能をマネージド提供

3.6. ネットワークサービス

プロダクト概要東京リージョンでの利用
Server Load Balancer L4/L7に対応するLoad Balancer
Virtual Private Cloud 仮想ネットワーク(仮想ルータ、仮想スイッチ)
NAT Gateway パブリックIPを持たないElastic Compute Service インスタンスのインターネットへ公開およびインターネットへのアクセスを実現
Elastic IP アドレス Elastic Computer Service インスタンスおよびServer Load Balancer などに紐付けることが出来るパブリックIP アドレス
Express Connect Alibaba Cloud のVPC間を専用回線で接続するPCコネクション、オンプレミスと接続するダイレクト・アクセス
Global Acceleration 特定リージョンのElastic Computer Service インスタンスを異なる地域にインターネット公開するサービス
Cloud Enterprise Network Alibaba Cloud のVPC間を専用回線で接続 (Express Connect と似ているがルーティング仕様や帯域幅の共有など仕様に違いあり)
VPN Gateway IPsec およびSSL VPN(OpenVPNベース)に対応するVPNサービスをマネージド提供

3.7. セキュリティ

プロダクト概要東京リージョンでの利用
Anti-DDoS Basic DDoS をマネージド提供
Web Application Firewall WAF をマネージド提供確認中
※WAFは中国本土/中国本土外で購入するが中国本土外は近い場所のWAFを自動選択する動作
※以前は日本にはWAFは未提供の記載があったが現在その記載がなくなっている(日本にあるとも記載がない)
Alibaba Cloud SSL Certificates Service Entrust 社のEV/OV証明書をAlibaba Cloud コンソールから提供

3.8. ドメイン&ホスティング

プロダクト概要東京リージョンでの利用
Alibaba Cloud DNS 権威DNSおよびセカンダリDNS、GeoDNS機能をマネージド提供。
※ 実際には特定リージョンに限定して提供される機能ではない
Global Traffic Manager DNSとヘルスチェックによる複数リージョンに分散したサービスの負荷分散・冗長化を実現する機能をマネージド提供
※実際には特定リージョンに限定して提供される機能ではない

3.9. BigData

プロダクト概要東京リージョンでの利用
MaxCompute GB、TB、PB 級のデータに対応した高速なデータウェアハウス をマネージド提供
E-MapReduce Apache Hadoop/Spark をマネージド提供
DataWorks V2.0 Max Compute、Data Integrationなどを一元的に管理できるIDE(統合開発環境)をマネージド提供
Data Integration
データ転送、データ同期機能をマネージド提供
Realtime Compute BigDataのストリーム処理を実現するApache Flink をベースにAlibaba Blink としてマネージド提供
Elasticsearch Elastic Search をマネージド提供
DataV データ可視化のダッシュボードをマネージド提供
Image Search AlibabaのECサイト(Taobaoなど)で培った商品画像検索アルゴリズムをマネージド提供

3.10. アプリケーションサービス

プロダクト概要東京リージョンでの利用
IoT Platform デバイス通信/接続/管理/セキュリティ/ルールエンジン機能などを提供するIoT Platformをマネージド提供
Log Service LogHub/LogShipper/紹介・分析機能をマネージド提供
API Gateway API Gateway をマネージド提供
Blockchain as a Service Hyperledger ベースのブロックチェーン基盤をマネージド提供
※要チケット申請
Message Notification Service キューとトピックに対応するメッセージサービスをマネージド提供

3.11. モニターとマネジメント

プロダクト概要東京リージョンでの利用
CloudMonitor Alibaba Cloud 上のリソースの死活監視、性能監視、可視化等の機能をマネージド提供
ActionTrail Alibaba Cloud 上の操作履歴などの証跡管理機能をマネージド提供
Resource Access Management Alibaba Cloud 上のID、リソースの権限管理機能をマネージド提供
Resource Orchestration Service リソースのテンプレート化、展開などの管理機能をマネージド提供
Key Management Service 暗号鍵、APIの管理機能をマネージド提供
Cloud Shell Alibaba Cloud コンソール(Web UI)からシェルの実行環境を提供
※実際には特定リージョンに限定して提供される機能ではない
OpenAPI Explorer Web UI からAlibaba Cloud 上のリソースへのAPIアクセスの実行環境を提供
※実際には特定リージョンに限定して提供される機能ではない
Alibaba Cloud CLI Elastic Compute Service インスタンスやオンプレミス環境、Cloud Shellから実行できるCLIツール
※実際には特定リージョンに限定して提供される機能ではない

4. まとめ

1年ほど前はプロダクト数も大分少なく、また、日本サイトでは提供されているけど東京リージョンでは使えないプロダクトが結構あったと記憶しています。 今回まとめた限りはほぼ東京リージョンで利用出来ることが確認できました。 東京リージョンで利用出来ないのはSuper Computing ClusterとWAF位でしょうか。

記載する情報を絞ったのですがそこそこの手間と時間がかかりました。 利用したことが無いプロダクトを一言でまとめるためにはそれなりにドキュメントを読み込まないといけないこと、そして、東京リージョンで利用可能かどうか実際のコンソールで1つ1つ確認したところも時間をとられました。  

次は国際サイト版のプロダクト一覧を作成する予定です。  これからAlibaba Cloud を利用する方々に向けてという意味で、将来日本でも提供されるであろう国際サイトのプロダクトの情報を先行してお伝えすることは、そこそこの価値があるのではと考えています。 そして、今回の記事作成の個人的な目的であるACE試験の合格のためにもです。ACE試験では日本サイトで未提供のプロダクトについて結構なボリュームで出題されていたためです。 国際サイトはプロダクト数が多いので大変ですががんばろうかと。