Alibaba Cloud には物理サーバを占有利用できる Dedicated Host が提供されています。 Dedicated Host を利用する1番の利点はライセンスのBYOLです。 また、Dedicated Host はホストOSを自由に制御できるベアメタルタイプではなく、あくまでECS インスタンスの実行先の物理サーバを占有出来るプロダクトとなります。
そんなDedicated Host ですが、Alibaba Cloud コンソールのECS 管理画面上に”専用ホスト”としてメニュー表示されるようになった模様です。 これまでも購入自体は出来たのですがその際にはサポートチケットから申告が必要でした。 今回、その事前申告の制限が無くなったのだと考えられます。
![](https://bigriver.jp/wp-content/uploads/2019/07/image-71.png)
7月4日に書いた以下の記事ではメニューには無かったのでここ1週間位のなかで改修があったようです。
せっかくなのでDedicated Host がどのようなものかまとめてみました。
目次
1. Dedicated Host とは?
![](https://bigriver.jp/wp-content/uploads/2019/07/image-72-1024x503.png)
日本サイトの製品プロダクトメニューの中ではDedicated Host (短縮名DDH)の概要が紹介されています。
Alibaba Cloud Dedicated Host (DDH) は、Alibaba Cloud の仮想化ホスティングを使用し、物理ホストを占有したシングルテナント環境を提供します。セキュリティ、コンプライアンス、ECSの柔軟な移行、ライセンス(BYOL)の要件を満たします。また、DDH 上で複数のスペックの ECS インスタンスを作成でき、ECS インスタンスのスペック選択の柔軟性と安定したパフォーマンス、および機能を継承することができます。
https://jp.alibabacloud.com/product/ddh?spm=a21mg.8121077.907453.dnavproductsa11.acae3e13ZKq04W
ここでは特徴が5点言及されています。
- セキュリティ
- コンプライアンス
- ECS の柔軟な移行
- ライセンス(BYOL)の要件
- DDH 上で複数のECS の実行
① セキュリティと② コンプライアンスですが、Dedicated Host では1台の物理サーバを占有利用出来るということがあると思います。
以下はドキュメントセンターにあるイメージ図ですが、右側のDedicated Host は1つの物理サーバには青色のインスタンスのみとなっています。一方、左側の通常のECS では複数の色(複数の顧客、アカウント)が混在しています。 論理的ではなく物理的な分離の要件に対応できるということです。
![](http://static-aliyun-doc.oss-cn-hangzhou.aliyuncs.com/assets/img/6617/1562033919891_ja-JP.png)
③ ECS の柔軟な移行は、通常の共有環境にあるECS インスタンスを簡単にDedicated Host に移動できるということです。
以下、ドキュメントセンターのFAQです。 詳細のリンク先が存在しないことはまあ待ってみます。
共有クラウドホスティングサーバーから DDH に ECS インスタンスを移行できますか。
https://jp.alibabacloud.com/help/doc-detail/68994.htm#ecsMigrationEcs
はい、できます。 [ECS コンソール] にログインして、ECSインスタンスを共有クラウドホスティングサーバーから任意の DDH に移行します。 ECS インスタンスの再起動]後に移行が有効になります。 サブスクリプション方式の ECS インスタンスまたはスポットインスタンスを移行することはできません。 詳細は、 「共有クラウドホスティングサーバーから DDH への ECS の移行」をご参照ください。
④ ライセンス(BYOL) は、サーバの共有環境を許容しないライセンス体系に対応するものです。 わかりやすい例としてMicrosoft のSPLAなどがあります。SPLAはサーバの共有環境に向けたライセンス形態です。 通常のECSもSPLAでしかMicrosoftのライセンスは利用出来ません。 一方、Dedicated Host の場合はライセンスの持込みが出来るということになります。
こちらもドキュメントセンターのDedicated Host の利用シナリオからの抜粋です。
BYOL (Bring-Your-Own-Licen-USse)ソケット単位、コア単位、VM 単位でソフトウェアライセンスを所有している場合は、物理サーバーで使用する場合と同様に、DDH でも使用できます (ただし、ライセンス条項によります)。 DDH を使用することにより、ビジネスをクラウドに移行する際のコストを削減できます。 対象となるライセンスには、Microsoft Windows Server、Microsoft SQL Server などのソフトウェアライセンスがあります。
https://jp.alibabacloud.com/help/doc-detail/69003.htm?spm=a21mg.p38356.b99.3.1ae86322R8UTJw
⑤ DDH 上での複数のECS の実行ですが、Dedicated Host は通常のECS と同じ管理機構の延長線上で利用するということになります。 これは、ホストOSを自由に構成できるベアメタル的なサービスではないということ、vCPUやメモリを自由に指定することは出来ずECSのタイプファミリーに準じるということになります。 自分専用の物理サーバに所定のECS タイプファミリーを展開していくということになります。
上記の5点の特徴はドキュメントセンターにある以下の比較表を確認することでより従来の共有のECSとの違い、利用するメリットが明確になります。
項目 | Dedicated Host 上の ECS | 共有クラウドホスティング上の ECS |
---|---|---|
分離 | 物理的な分離CPU、メモリ、ネットワークなどのリソースが物理サーバーレベルで分離されるため、より高いセキュリティが保証されます。 | 仮想的な分離リソースは仮想マシンレベルで分離されます。 テナントは、ネットワークやメモリなどのホストリソースを共有します。 |
規制遵守 | 厳格な規制遵守Dedicated Host は、特定の物理サーバー上にインスタンスを配置し、ホストの物理的属性を表示することで、より詳細な可視性ときめ細かい制御を実現します。これにより、業界固有のビジネスコンプライアンス要件や規制要件 (金融規制など) を満たすことができます。 | 一般的な規制遵守複数のテナントが物理サーバーのリソースを共有します。 |
Bring-Your-Own-License (BYOL) | サポートありマシンのシリアル番号、ソケット数および物理 CPU コア数が可視化され、クラウド上で既存のソフトウェアライセンスを使用できるため、ビジネスをクラウドへ移行する際のコストを削減できます。 | サポートなし物理サーバー情報の可視性は下回ります。 |
デプロイメントの柔軟性 | 特定の物理サーバーにアプリケーションをデプロイできます。指定した DDH で ECS インスタンスを作成したり、共有クラウドホスティングから DDH に ECS インスタンスを移行したりすることができます。 | 不特定のサーバーにアプリケーションをデプロイします。物理サーバーを指定して、アプリケーションをデプロイすることはできません。 |
2. Dedicated Host の購入
購入画面を紹介します。 左メニューの”専用ホスト”をクリックすると、右側に管理画面が表示されます。
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Dedicated Host の対応リージョンを確認します。 上の方にあるリージョン選択のリストボックスを展開します。 中国8リージョン含む全20リージョンで利用可能なようです。(グレーアウトされているリージョンがない。他プロダクトを見る限り、未提供のリージョンはこの展開画面でグレーアウトされている)
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購入画面へ移動します。 ”DDHの作成”をクリックします。
![](https://bigriver.jp/wp-content/uploads/2019/07/image-75.png)
購入画面が開きます。
![](https://bigriver.jp/wp-content/uploads/2019/07/image-76-1024x514.png)
この画面でも購入可能なリージョンが確認出来ます。この画面の方がより確実な情報となります。
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東京リージョンを選択します。 4種類のDedicated Host が購入出来ます。 リージョンごとに提供される種類が異なります。
![](https://bigriver.jp/wp-content/uploads/2019/07/image-78-1024x285.png)
DDH 設定として、2項目の設定を指定することが可能です。
![](https://bigriver.jp/wp-content/uploads/2019/07/image-79.png)
”DDH 障害時の自動インスタンス移行”の意味するところは、物理サーバ障害時の挙動です。 有効にすると物理サーバが障害で停止時にゲストOSを他の物理サーバで自動的に起動する動作となります。
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無効はそのような自動的な再起動を実施しないということになります。 使いどころとしては、Databaseなど勝手に再起動されると困るシステムなどでしょうか。 通常のオンプレミスの仮想基盤でもそうですが大事なシステムがダーティシャットダウンされた時は手動で起動し、状態を確認しながれサービスを起動すると思います。 そのような運用時は無効にするとよいと思います。
次に”UDP セッションタイムアウト期間の設定”です。 この説明書きだけだと詳細はわからないですね。 Security Group など間にあるFirewall 機能におけるセッションテーブルのタイムアウトということでしょうか。
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価格モデル(購入方法)はサブスクリプションと従量課金の2つから選択出来ます。 従量課金があるので気軽にテストも可能です。
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今回は、従量課金、東京リージョンの56vCPU,112GBのタイプを購入します。
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プレビューボタンを押下後、従量課金はサポートされないとのこと。 サブスクリプションは20万弱なので気軽に試せません。購入してのテストは断念します。
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Dedicated Host での従量課金の利用ですが、サポートチケットによる申請が必要とのことでした。
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