Alibaba Cloudが提供する強力な生成AIプラットフォーム「Model Studio」について紹介するシリーズ記事です。
前回の記事では Model Studio の AI Token Plan(Standard Plan)の料金体系やライセンス、データ学習の有無といった「始める前の不安要素」を整理しました。
課金や規約上の安全性が確認できたところで、今回は「実際の Model Studio の管理画面(コンソール)」をご紹介します。
「興味はあるけれどアカウント作成やカード登録までは面倒……」という方向けに、実際のUIや触り心地がイメージできる内容でお届けします。
目次
「Dashboard」画面:ブラウザ上で即座に試せる対話型ワークスペース
ログインしてまず表示されるのが、Model Studio のダッシュボードではなく、Docs のGet Started の Models の画面になります。
1画面では表示しきれない量の左ペインのメニューがあります。 また、初期で選ばれている Models の右ペインにも大量のAI Models が利用可能なモデルとして確認出来ます。

ダッシュボードにアクセスするには画面上部にある “Dashboard”をクリックします。

ダッシュボードが画面が開きます。 ここからブラウザ上で直接モデルの挙動をテストできる生成AIワークスペースが利用出来るということです。

① テキストモデル(Text Model)の操作画面
中央には ChatGPT や Claude のようなシンプルなチャットUIが配置されており、最新の Qwen3.8-Max などのモデルに対してプロンプトを即座に試すことができます。
特徴的なのは、入力プロンプト欄に備わっている以下の機能です。
- Deep Thinking(深層思考モード): 推論機能を有効化して複雑なロジックを解かせる設定。
- Search(検索グラウンディング): リアルタイムのWeb情報を参照させて回答させるトグルスイッチ。
さっそく、Qwen3.8-Max に”宮城県白石市にあるきつね村が外国人観光客に人気な理由を考察して”と入力します。

実際の Qwen3.8-Max からの回答全文は以下。 生成AIの利用の中で観光系は誤情報が多い印象がありますが(架空の地名や名物が出てくるような)地元民の私が見てもしっくり来る内容でした。 特に4の非日常・達成感の理由としてのアクセスの悪さはそのとおり!と腹落ちです。
蔵王キツネ村が外国人観光客に人気な理由の考察
基本情報
正式名称は「蔵王キツネ村」。宮城県白石市にあり、約100頭以上のキツネが放し飼いにされている世界でも非常に珍しい施設です。
1. SNS・YouTubeによる爆発的な拡散
最も大きな要因はこれでしょう。2010年代半ば頃から、海外のYouTuberが紹介動画をアップし、数百万回再生を記録しました。
- 「Fox Village」で検索すると英語の動画が大量に出てくる
- InstagramやTikTokでの写真・動画が「映えコンテンツ」として拡散
- 「日本に行ったら絶対に訪れるべき場所」系のまとめ記事に頻繁に掲載
特に英語圏のインフルエンサーが火付け役となり、そこから多国籍に波及した構図です。
2. 世界的に見て「唯一無二」の体験
キツネを放し飼いで見学・触れ合える施設は、世界中を見渡してもほぼ存在しません。
- 欧米ではキツネは「野生動物」「害獣」あるいは「狂犬病の媒介者」という認識が強い
- キツネに触る、餌をやる、抱っこするという体験自体が海外では法的・文化的に不可能
- 「日本でしかできないこと」という希少性が旅行先選びの強い動機になる
3. 日本の「キツネ文化」への予備知識
海外、特にアニメ・ゲームファンにとって、キツネはすでに魅力的な存在として刷り込まれています。
| 作品 | キツネとの関連 |
|---|---|
| NARUTO | 九尾(九喇嘛) |
| ポケモン | ロコン、キュウコン |
| どうぶつの森 | つねきち(きつね) |
| 大神(ŌKAMI) | 天照大神とキツネの要素 |
| 海外の日本神話ファン | 稲荷神社・九尾の狐 |
「kitsune」という単語がそのまま英語圏で通じるほど、日本のキツネ文化はポップカルチャー経由で認知されています。つまり、訪れる前から「キツネ=日本的で神秘的な存在」というポジティブなイメージが形成されているのです。
4. 「非日常感」と「冒険感」の演出
白石市は新幹線が停まるものの、駅からさらにバスやタクシーを使う必要があり、アクセスは決して良くありません。しかしこれが逆に:
- 「秘境スポットを発見した」という達成感
- 観光客が少なく、混雑しない特別感
- 雪景色の中のキツネ(冬)は圧倒的な非日常
として機能しています。アクセスの悪さが「フィルター」となり、本気度が高い訪問者だけがたどり着く構造が、満足度を押し上げている面もあります。
5. 「動物ふれあい」需要の世界的な高まり
近年、世界中で動物カフェ・動物ふれあい体験の人気が急上昇しています(猫カフェ、うさぎカフェ、カワウソカフェなど)。きつね村はこのトレンドの最上位互換とも言える存在です。
- 猫やうさぎは自国でも触れ合える → キツネは触れ合えない
- 「他ではできない動物体験」を求める層に刺さる
まとめ
| 要因 | 重要度 |
|---|---|
| SNS・YouTubeでの拡散 | ★★★★★ |
| 世界唯一の体験(希少性) | ★★★★★ |
| ポップカルチャー経由のキツネ人気 | ★★★★☆ |
| 非日常感・冒険感 | ★★★☆☆ |
| 動物ふれあい需要の高まり | ★★★☆☆ |
一言でまとめると、「日本のポップカルチャーでキツネに憧れを持った外国人が、SNSでその存在を知り、世界で唯一の体験を求めて訪れる」 という導線がきれいに成立していることが、人気の本質だと考えます。
② 音声・画像・動画のマルチモーダル対応
左メニューの Speech や Vision を切り替えると、音声認識モデル(Qwen3-ASR-Flash や Fun-ASR)や、話題の動画・画像生成モデル(Wan3.0 等)をテストできる専用UIが用意されています。テキスト生成だけでなく、マルチモーダルAIの検証もすべてこの画面で完結します。
Vision の画面を紹介していきます。 Textと変わらずのUIです。 シンプルで利用に迷うところはありません。

キツネ村から画像を生成してみました。 本当のキツネ村とは違ったりしていますが、まあわたしの指示文、プロンプトがいまいちだったのだと思います。

生成後、以下の感じで画像へのリンクが提供されるのでこのリンクから画像を確認可能です。
また、Tokenも定量的にレポートされるのも良い感じです。

Textは2回ほどの問答、Visionは4回ほどの画像の作り直しを行いましたが、ここまでのトークン消費とFree Tokenの空きも入力画面に常に表示されるのも親切でわかりやすくて良い感じです。

③ 運用・管理メニューの一括配置
画面左下のサイドペインには、実際の開発・運用で必要となる以下のメニューが集約されています。
API Key/Permissions/Usage and Billing: キー発行や権限管理、利用実績の確認Fine-tuning/Evaluation/Deployments: カスタムモデルの追加学習や評価、デプロイ管理
Usage and Billing のFree Quota 画面を紹介します。 現在利用出来るLLMの 96 Models について Free Quota Remaining の状況を確認できます。
上記で紹介した Text や Vision の利用によりqwen3.8-max Remaining 988,641 / Total 1,000,000 と1%程消費されたことがわかります。
また、LLM以外の Vision や Multimodal 、Audio、Embedding も切り替えて表示と確認が可能です。

Model Usage の画面も紹介します。 API Calls について時系列のグラフで確認できます。

次は Cost Overviewの画面です。 まだ Free Quota の範囲内での利用のため課金は発生していないことがわかります。 この後、別システムからAPIを利用するテストをしていくので、ここはこまめにチェックしていくことになりそうです。

API Key の画面も紹介します。 まだ、API Key は作成していない状態です。 Static な API Key ではなく、時限的なトークンによる認証、認可が行えないかはこれから調べるところです。 まあ、当面は個人的なテスト、検証利用ではあるので安全に管理することを前提にAPI Key を発行して利用するかもしれません。

「Get Started / Docs」画面:迷わせない親切な開発ポータル
先ほどまでは Web ブラウザの UI から Qwen を直接利用する場合の機能や操作を紹介してきました。 一方、API 連携やプログラム組み込みを行いたい開発者向けには、非常に手厚いポータル・ガイドが用意されています。
上部メニューから”Docs”をクリックすることで開発ポータルにアクセス可能です。

① 4ステップで迷わないオンボーディング(First API call to Qwen)
Get Started の初期ガイドでは、以下の流れが明確にステップ分けされています。
- アカウント作成 & Model Studio の有効化
- API Key の取得
- リージョンごとの Workspace ID の指定(シンガポールや東京リージョン等で使用)
- 環境変数(
DASHSCOPE_API_KEY)の設定とコード実行
上記の手順3のリージョンごとのWorkspace IDの指定について、追加で説明したいことがあります。 先に結論を言うと購入した Standard Plan や Free Token の利用はSingaporeリージョンを利用する場合のもののようです。 詳細は確認中でその結果は別記事に記載する予定。 私は個人利用なので最新機能を利用出来、Free Quota も利用可能な Singapore リージョンの利用で全く問題は無いのですが、Enterprise での利用において日本国内のリージョンを利用したい場合は注意が必要となりそうです。
② OpenAI 互換 SDK ですぐ動くサンプルコード
Call the API セクションでは、Python、Node.js、Java、cURL などのコード例が掲載されています。
最大のポイントは、OpenAI 公式ライブラリ(from openai import OpenAI)をそのまま流用できる点です。 base_url を Model Studio のエンドポイントに指定するだけで、既存の OpenAI 向けコードをほぼ書き換えずに qwen3.8-max へ切り替えられます。
import os
from openai import OpenAI
client = OpenAI(
api_key=os.getenv("DASHSCOPE_API_KEY"),
base_url="https://{WorkspaceId}.ap-southeast-1.maas.aliyuncs.com/compatible-mode/v1",
)
completion = client.chat.completions.create(
model="qwen3.8-max",
messages=[
{"role": "system", "content": "You are a helpful assistant."},
{"role": "user", "content": "Who are you?"},
],
)
print(completion.choices[0].message.content)非同期処理(AsyncOpenAI)やマルチモーダル入力のサンプル、トークン数の計算仕様に関する FAQ も充実しており、開発者がドキュメントを探し回るストレスが極めて少ない設計になっています。
まとめ
今回は Alibaba Cloud Model Studio の実際の管理画面(Dashboard)と開発ポータルの触り心地をご紹介しました。
「ブラウザ上で即試せる Playground」としての手軽さと、「OpenAI 互換で即アプリに組み込める」開発ポータルとしての完成度が両立されており、「アカウントを作って触ってみる価値が十分にあるプラットフォーム」だと実感しました。
次回は、今回確認した API Key と環境構築手順を元に、実際に Python スクリプトから OpenAI SDK 経由で Qwen モデルを呼び出してみる実践的な内容をお届けする予定です。
もしくは先に リージョンの話を詳しく記事にするかもしれません(Standard Plan の対象は Singapore であり、また、Free Quotaは Tokyo リージョンでは利用出来ないこと)。
